こんばんは。
9月に入ったと思ったら
もうお彼岸が近くなってきました。
日々過ぎていく時間の流れが速いのは
歳のせいばかりではないというありがたい話を
先日、日帰り吉方旅行で聞いてきたばかりですが
そのレポートは後日まとめることにして
今日はお約束通り、六波羅蜜のお話をしようと思います。
お彼岸には六つの修業を -六波羅蜜のお話-
お彼岸です。
春と秋にありますね。
お墓参りに行く方も多いかと思います。
お彼岸とは仏教の行事ですが
実は日本にしかないのはご存知でしょうか?
仏教の聖地インドにも中国にも
お彼岸にお墓参りに行く習慣がないのに
日本にだけあるのは面白いですよね。
お彼岸とは
お彼岸というのは気候の上でも特別な日で
昼と夜が同じ長さで
太陽が真東から上り真西に沈みます。
私たちの住む此岸(東)から彼岸(西)へと
中心を通って太陽が移動するとき
此岸と彼岸が通じやすくなると考える
太陽信仰が礎にある日本ならではの風習として
定着したようです。(※諸説あります)
お彼岸は七日間
お彼岸とは、春分の日、秋分の日を中日とした
前後三日を含めた七日間です。
彼岸入りし、中日があり、彼岸明けとなりますが
その七日間の間に行うとよい修業があります。
本来はこの修業は日常的に行うものですが
普通の生活をしている一般の人が
仏道修行を実践するための期間にもなっています。
六波羅蜜の修業
お彼岸に行うとよいとされる修業は
六波羅蜜の修業といいます。
六波羅蜜の修業は、名前の通り六つあります。
お彼岸の七日間の中で
中日をはさんだ前後それぞれ三日
合計六日間の間、毎日ひとつずつ修業を行っていきます。
(※お彼岸のお中日は、お墓参りに行きます)
一日目から最終日までの六波羅蜜の修業は
このようなものです。
一日目 彼岸入り 布施
彼岸入りした初日は布施波羅蜜の修業を行います。
布施波羅蜜とは、『布施』のことですね。
この『布施』にはさらに三つに分かれています。
・財施
字の通り財を施しますので、金銭の寄付や
お寺にお布施を納めることが財施です。
日常の中では、募金などがやりやすいかもしれませんね。
・法施
法施とは、一般的にはお坊さんの法話のことですね。
お坊さんのように人の心が軽くなる話ができれば満点ですが
人に優しい言葉をかけて一日を過ごせれば
それで大丈夫ですよ。
・無畏施
無畏施とは、悩みや不安を抱えている人に
怖がる必要はないこと教えてあげることです。
ちょっと難しいかもしれませんね。
ですがこちらも、悩んでいる人がいたら
相手の心が軽くなるように声をかけてあげられれれば
それで満点です。
これらをすべてのことをやらなくても大丈夫ですが
財施は必ず行ってくださいね。
二日目 持戒
二日目に行う修業は持戒波羅蜜です。
持戒波羅蜜とは、持つ戒律と書きますが
戒律を守ることですね。
戒律というとまた難しくなりますが
人としてのルールを守り
道を外さず(食べすぎたり飲みすぎてしまったりなどせず)
正しい心を持った一日を過ごすという修業です。
三日目 忍辱
三日目に行う修業は忍辱波羅蜜です。
忍辱波羅蜜とは、ちょっと難しい字ですが
「忍辱」耐え忍ぶことですね。
私たちが住んでいるこの世界を
仏教の世界では「忍土」といいます。
この世界で生きて行くには
耐え忍ぶ必要があるという考え方ですね。
日常生活では愚痴、泣き言、不平不満を言わず
何があっても怒らないという一日を過ごすように
されるとよいと思いますよ。
そんなの大変!って思う方もいるかもしれませんが
修業なので、頑張ってくださいね。
四日目 彼岸中日
四日目は彼岸中日になります。
此岸と彼岸が通じやすくなるこの日は
お墓参りに行きます。
ご先祖様がいて自分が今ここにいること
感謝の気持ちを伝えます。
それが、四日目の修業になります。
五日目 精進
五日目に行う修業は精進波羅蜜です。
精進波羅蜜とは、「精進」という文字のままの意味で
精進する一日となります。
しかし、やみくもに頑張るということではなく
心に余裕を持ちながら、一生懸命を怠らず過ごす
ちょっと難しい修業でもあります。
精進はすべての修業の基本となるもので
本来は何をするにしても「精進」という気持ちで
臨まないといけないものですね。
日常ではあまり深く考えず
自分がやるべきことを丁寧に行う一日を
過ごしてみましょう。
六日目 禅定
六日目の修業は禅定波羅蜜です。
禅定波羅蜜とは、禅定、禅の心で過ごすことです。
禅というと座禅をする日かと思いがちですが
座禅をしているかのように心を静かに保ち
そして今この瞬間に集中して過ごすということですね。
(※座禅をしても構いません)
瞬間瞬間に集中して過ごすのは
やってみるとすごく大変だと思います。
禅定(禅の心)とは何かを知るために
座禅を試してみる日にしてもよいかもしれません。
七日目 彼岸明け 智慧
七日目の修業は智慧波羅蜜です。
智慧波羅蜜とは、智慧を持つ日です。
ちょっと難しいですよね。
何が正しいか、何が真実であるか
その判断ができる智慧を持つ修行となります。
お彼岸とは、彼岸(悟り)と此岸(迷い)のことでもあります。
迷いではなく悟りに至る、それが智慧の修業です。
そのほかの修業を6日間しっかり勤めてきた人であれば
もしかしたら何かを感じる日にできるかもしれませんね。
悟りの智慧を得んとする修業が
この智慧波羅蜜の修業となります。
修業をすると
仏教では、この六波羅蜜の修業を行うことで
彼岸(浄土)に到達できるとされています。
しかし、そればかりではなく「彼岸」は「日願」
そして悲願にも通じるといわれていて
悲願が叶うという考えもあります。
もちろんその悲願は我欲ではない方が望ましいですが
これらの徳目を行うことで願いが叶うかもしれません。
もしよければ、お彼岸の前後を含めた七日間
六波羅蜜の修業を試してみてください。
お彼岸が日本に定着したのは
太陽信仰のある国、すなわち
神道の考えが根付いているためといわれています。
六波羅蜜は仏教の教えですが
日本人のアイデンティティには
必ず神道が含まれていますよね。
お彼岸には、太陽の力で
あちらの世界とこちらの世界が通じる。
それは、日本だけに起こる奇跡なのかもしれません。
ぜひ皆さんも、六波羅蜜の修業
チャレンジしてみてください。